2002/03/05     庶民から見た金融危機                                    前頁に戻る

 

         

    四月ペイオフ解禁を前に個人預金の大手銀行への集中が顕著になってきている。個人レベルで危ない銀行から安全な大手銀行へ預金の移し替えが急激に行われているからだ。これはしごく当たり前のことである。みすみす預金がカットされるのを手をこまねいて見守る馬鹿はいない。これで危ない銀行はますます危なくなり三月末に消滅の危機を迎えることになるだろう。小泉が四月ペイオフ解禁に執拗に固執したのは個人の損得勘定に拍車をかけることで市場原理に沿って生き残る銀行と死ぬ銀行を早期に峻別する事に目的があったのだ。確実に銀行は少数の体力のあるものだけが生き残ることになるだろう。体力のない不良銀行は十把一絡げにまとめられ債権放棄したのち、国が公的資金を注入して国営化し、体裁を整えて外資に安く叩き売られることだろう。ブッシュがわざわざ日本に来て小泉に「不良債権処理」を強いたのは、彼のバックにいる国際金融資本に日本の銀行を安く売り渡すよう要請して来たことに他ならない。政府内部で公的資金を使うの使わないのと盛んに議論をしているが、これは国民の目をごまかす時間稼ぎにすぎない。アメリカの圧力がある限り、いずれ公的資金は注入され多くの不良銀行は整理される運命にあるのである。

    ところで庶民にとっては三月金融危機などどうでもよいことだ。銀行がつぶれ、大手ゼネコンや流通が潰れても庶民には直接影響はない。潰れる前に金を安全な場所に避難させておくだけのことだ。潰れたら潰れた当事者が頑張って後始末をすればいいだけの話である。それを政府があたかも国民全体を巻き込む国家危機のようにNHKなどの大手メディアを通じて宣伝するのは何故だろうか。国家危機を煽ることで庶民をその気にさせ、増税もやむなしという風潮をつくりあげ、税金という名の公的資金を庶民から巻き上げる腹積もりがあるからだ。これから医療費の改悪やら何やら一杯理由をつけて、庶民の負担を増大させ、間接的に庶民から金を巻き上げることに血道を上げはじめるだろう。なぜなら日本で一番貧しいのは700兆円の負債をかかえる日本政府であるからだ。アメリカの要求する「不良再建処理」のための公的資金は庶民の懐(ふところ)を当てにする以外にない。勝手に借金をつくっては後から理由をつけてじわじわ庶民から搾り取るつもりだろう。

    したがってこれからの日本政府は庶民の金を巻き上げる高級な詐欺師だと考えたほうが無難である。我々庶民が生活を防衛するためには、今の政府のやることを根本から疑ってかかることが重要である。政府は庶民から金を巻き上げることしか考えない。あの手この手で庶民を煙に巻いて財布の中身を抜き取とろうとしてくるだろう。あなたの「虎の子」を騙し取られない為には政府の動きの裏を読み取る能力が必要となってくるのだ。