2001/10/11      戦争の足音                                           前頁に戻る

 


    連日国会でテロ対策特別措置法案が議論されている。小泉の答弁を聞いていると腹が立ってくる。「テロは悪い。故にテロ撲滅の米国の戦争を支援する。したがって自衛隊に米軍の後方支援をさせる」とただこの一点張りだ。実に単純極まりない。小泉はたぶん米国の同時多発テロという願ってもない助け船を利用して米軍支援を打ち出し、国民の関心をそちらに向けることで、彼の掲げる構造改革の失敗をうやむやにする事を狙っているのだろう。しかしこの法案が国会を通過した後に確実に起こるであろう恐ろしい出来事については全く考慮を欠いているのである。この男は自分が何をしようとしているのか自分でもよく分かっていないのではないか。こんな男をいつまでも総理大臣にしておいてはいけない。このままでは日本はこの男によって二度目の亡国の道を歩むことになるだろう。

    本来、米国の同時多発テロは、日本国とはまったく無関係の事件である。対岸の火事として高みの見物をしてれば、それでよい話である。それを何を勘違いしたのか、小泉のやつ、米国が求めもしないのに、一人前にしゃしゃり出て米国に軍事支援を申し出るとは。小泉は本当の大馬鹿者だ。しかし日本国民もどうかしてるぜ。何故こんな奴の馬鹿発言に大声で反対しないのだ。さっさと総理大臣の首を切るべきではないか。こいつの危険な火遊びで日本は国ごと吹き飛ばされようとしているのに。

    残念ながらこの法案は現在の与野党の議席数から考えれば国会を通過する可能性が非常に高い。これが通過すれば自衛隊は米軍の後方支援としてアフガンに派遣される。これは戦争に荷担することである。この戦争は悪くすると何年も長引くことになるだろう。そして戦禍はアフガニスタンだけでなくパキスタンにも拡大されることだろう。そうなれば戦線の前方も後方も区別がつかなくなる。タリバンやそれを支援するイスラム教徒から見れば米軍も日本の自衛隊も区別がつかなくなる。どちらも同じ敵として攻撃されるだろう。こうして多くの自衛隊員が命を落とすことになるのである。

    戦後56年、戦争とは無縁な世界に生きてきた平和ボケの日本人にとっては事態の重大さがまだよく飲み込めていない。これから日本国の自衛隊員が多数戦死する悲惨な戦争が実際に始まるのである。この戦争で自衛隊から最初の犠牲者が出た時、日本国民は事のあまりの重大さに気付くことになるのである。その時日本社会は異常なパニックに見舞われることだろう。テレビも新聞も全てのマスコミは連日連夜、戦争報道と戦死者の発表に明け暮れることになるだろう。そして戦時色を一層濃くして行き、まともな政治経済の報道など隅っこに追いやられ忘れ去られることだろう。

    日本国民の関心事は戦争に集中し、戦争の話題で持ちきりになるだろう。今の不良債権処理や特殊法人改革など、話題にも上らず、奇麗に忘れ去られる。「昔そんな呑気な話があったなあ」と忘却の隅に追いやられるのである。そして国民の知らないうちにいつのまにか、     これらの問題は密かに国民の負担で処理されてしまうのである。