2001/10/02     アフガン派遣の意味                                      前頁に戻る

 


    「野中広務がんばれ」と声援をおくるのは今回の米国同時多発テロに対する卑屈なほどの日本政府の対米追従外交のあり方を痛烈に批判している点についてだけである。私はけっして野中の薄汚い政治手法を礼賛などするつもりはない。

    しかし私に言わせれば、小泉が日本国民を無用な戦争に巻き込もうとする危険な振る舞いは、野中の薄汚い政治手法が日本国民に与える害毒よりも格段に危険で恐ろしいものがある。この男のバックには、石原がおり、中曽根がおり、アメリカのグローバリスト(帝国主義者)がいる。この連中はアメリカの手を借りてかっての日本の軍国主義の復活を狙っているのだ。奴等が日本を牛耳れば昔のように何十万、何百万という日本人がアメリカ兵に替わって戦場で血を流すことになるだろう。

    今の日本で何より情けないのは、この危険な状況を憂い、「自衛隊のアフガン派遣」に面と向かって大声で反対しているのが、力のある政治家ではかつての悪のシンボルであった「野中広務」以外にいないことである。野中以外はマスコミも含めてみんな、小泉をおおぴらに批判できない状態に陥っている。これは極めて危険なことだ。小泉はこの状況を絶好のチャンスと考え、アメちゃんの喜ぶ政策を次々と実行して行くことだろう。

    小泉の不良債権処理は長銀や日債銀で用いた方式を踏襲して、公的資金による銀行の国有化を行い、これを外資に安く叩き売ることだろう。こうしてアメリカ(ブッシュ)は小泉に涙を流して感謝し、日本の銀行はほとんどが外資の手に落ちるだろう。それは湾岸戦争以上の援助金が間接にアメリカに渡ることを意味する。

    次に構造改革だ。小泉が声高に叫んでいる特殊法人の改革はほんの前哨戦に過ぎない。小泉の構造改革の真の目的はズバリ公務員のリストラである。国家公務員100万人、地方公務員350万人、現業公務員(警察、自衛隊を除く)50万人の合わせて500万人の二分の一の首を切ることだ。この恐怖のリストラの嵐を巻き起こし、公務員(官僚)を上から下まで萎縮させ、恐れおののかせ、ひれ伏させ、自由に手なずけるのが目的だ。

    日本最強の利権集団である公務員(官僚)を小泉が現状の「国家破産」の錦の御旗だけを武器にして突き崩して行くことはとても無理がある。小泉が公務員(官僚)を打倒するには何か巨大なインパクトが外部からもたらされなければならない。それがどのようなインパクトなのかは具体的には分からない。しかしはっきり言えることは、それは日本を直接巻き込む「きな臭い戦争」であるということだ。その時、小泉が戦時統制経済を強行することで「構造改革」は完成されるのである。「自衛隊のアフガン派遣」は、その「きな臭い戦争」に対して日本国民の感覚を麻痺させるための準備段階に過ぎないのだ。