2001/08/21      PKF凍結解除?                                        前頁に戻る

 


   8月19日の読売新聞の一面トップに恐ろしい記事が載っている。

     (転載始め)

     国連平和維持活動(PKO)への参加のあり方を検討している政府は18日までに
     国連平和維持隊(PKF)への参加凍結を解除し、あわせて隊員による武器使用基
     準も緩和する方針を固めた。秋の臨時国会にPKO協力法改正案を提出する。東テ
     ィモールが来年独立するのを受けて行われる新たなPKOに積極的に協力すること
     を念頭に置いたものだ。

     (転載終わり)

     これで小泉の中曽根、石原グループに連らなる危険な国家主義者としての一面がは
     っきりと見えてきた。先の靖国参拝の強行といい、今回の海外派兵を積極的に認め
     る姿勢といい空恐ろしいばかりだ。国民が一番期待している肝心の経済政策は未だ
     に船頭が多いばかりで具体案を一つも出さず、構造改革など夢のまた夢に終わりそ
     うだ。日経平均は本日も最安値を更新して日本丸はさらに沈没に近づいているとい
     うのに。

     国民は小泉に裏切られる結果に終わりそうだ。
     裏切られるだけならいい。
     期待など最初からなかったと思えばいいのだから。
     しかしこんな恐ろしい法案を通された日にはかなわない。
     青年に未来はない。日本国はおしまいだ。
     国連軍の名のもとに自衛隊を海外派兵して武器を使わせるって。
     これ昔の日本軍がアジアの諸国を侵略した構図とまったく同じじゃないか。
     国連軍とは煎じ詰めれば国際金融資本を衛る軍隊のことじゃないか。
     国際的な金貸しのために何で日本人が先兵の役を勤めなければならないんだよ。
     これじゃ戦前の日本軍のほうがよっぽどましじゃないか。
     だって、日本軍は誰のためでもない「日本」のために戦ったんだもんね。
     小泉君、こんな法案通そうというのなら
     何もしないうちにさっさとやめてもらった方がいいや。

     PKF凍結解除は東ティモール独立を受けての法案という。
     大義名文はこうだろう。
     自衛隊は東ティモールの住民の治安を護るためにPKF活動を行うと。
     じゃ敵は誰なんだい。インドネシア国軍と独立反対の暴走民ということになる。
     自衛隊は正義で彼らは悪なのか。そんな簡単な話でかたずけられるのかい。
     国際金融資本の巣窟。アメリカが大いに喜びそうな話ではないか。

     東ティモールの独立紛争とはいったい何なのか。
     日本人はこのことを知らな過ぎる。
     いやマスコミの統制によって知らされていないのだ。
     これはけっして小国の抑圧された人権を開放する独立運動などではない。
     欧米マスコミがそのように勝手に言いふらしているにだけに過ぎない。
     結論を先に言えばこれはインドネシアと国際石油資本(石油メジャー)との熾烈な
     石油資源の争奪戦争なのである。

     オーストラリアとティモール島の間にある通称ティモールギャップと呼ばれる海域
     は膨大な石油資源と天然ガスが眠る宝庫である。
     1975年にポルトガルで政変が起こるとポルトガル領東ティモールで独立運動が
     高まりは国際石油資本はこの石油利権を失いかけた。
     そこで国際石油資本はインドネシアに資金を提供して東ティモールにインドネシア
     軍を侵攻させ東ティモーを併合させたのである。
     こうして国際石油資本はインドネシアのスハルト政権を懐柔しティモールギャップ
     の利権を有利にするとともに、スハルト政権をそそのかして膨大な費用を必要とす
     る東ティモールのインフラ整備にあたらせたのである。

     しかしそれと並行して国際石油資本は東ティモールの独立派のインテリ達を密かに
     育成し影から彼らの独立運動を支援し操ったのである。
     「東ティモールではインドネシアによるひどい人権侵害が行われている」
     こういった国際世論を意図的に形成し、独立派として果敢に闘う彼らの子飼いのイ
     ンテリやキリスト教の司祭を賛美し、ノーベル平和賞まで与えたのであった。
     これは国際石油資本によるスハルト政権への露骨な揺さ振り工作であった。

     1998年国際石油資本はインドネシアにおいて利用価値の無くなったスハルト体
     制が崩壊しインドネシア国民が一人歩きをはじめると、突然掌を返すようにして東
     ティモールの独立派を公然と支援しはじめる。こうしてインドネシアの不安定な政
     情を利用し、どさくさにまぎれて1999年国連管理下で住民投票が行なわれ東テ
     ィモールの独立が決定されることになるのである。

     この経過から分かるように、インドネシアは国際石油資本にうまく嵌められたので
     ある。東ティモールのゲリラを掃討し、長い年月と膨大な費用をかけてインフラを
     整備したあげく、国際石油資本にまんまと梯子をは外されアブラゲをさらわれたの
     がインドネシアであった。当然インドネシア国軍は東ティモールの独立を認めず威
     嚇攻撃に出た。さらに東ティモールのインドネシア系住民は利権確保のため独立派
     への弾圧を開始するに至ったのである。

     欧米のマスコミに躍らされ、背後の事情を何も知らない市民運動家や国際世論は当
     然、東ティモール独立派を支援しインドネシアを激しく非難した。もちろん日本の
     マスコミもこれに同調したのである。こうして東ティモールの紛争はインドネシア
     の国内問題としては収拾不可能な事態に陥ったのである。
     ここでいつもの予定通り、国際金融資本(国際石油資本の親分)の取り仕切る「国
     連軍」という名前の「国際機関」が出てくることになる。こうして東ティモールに
     はオーストラリアを主体とした国連軍が投入され東ティモールは国連の管理下に入
     ることになったわけである。

     スハルト政権時代、インドネシアとオーストラリアはティモールギャップの領海の
     線引きで折り合いが付かず、ティモールギャップの石油資源の共同開発は遅々とし
     て進まなかった。オーストラリアの後ろに控えているのはもちろん国際石油資本で
     ある。今、東ティモールをインドネシアから分離独立させ、彼らの意のままになる
     政権を樹立させることによってティモールギャップの石油と天然ガスの資源をまる
     まる手に入れようとするのが国際石油資本の魂胆なのである。

     小泉の言うPKF(国連平和維持活動)とは日本の金を使って、この国際石油資本
     の用心棒を買って出ることに他ならない。これはアジア人によるアジア人の威嚇と
     監視であり、最悪の場合はアジア人同士が血を流す事態になる恐れが濃厚だ。そし
     てこれは白人が最も好む事態なのである。

     東ティモールの独立に反対しているのはインドネシア系の住民だけではない。東テ
     ィモールの本当の土着の原住民も国際石油資本の意図を見抜いて独立に反対してい
     る。彼らはぼろきれのように捨てら顧みられなくなる自分たちの未来をはっきりと
     見抜いているのだ。それであんなに素朴で粗末な手製の斧や弓で武装してでも国連
     軍の銃に対抗しているのである。
     自衛隊はこんな人々と本当に戦うのか。
     日本武士の端くれとしてまことに情けなくなってくる。