2001/08/10      お札をじゃぶじゃぶ刷る                                   前頁に戻る

 


    本日の読売新聞によれば舛添要一氏が中心になって「日銀法改正研究会」を立ち上げるという。この舛添という人、この前の参議院選挙で自民党から全国区で立候補して158万票を獲得して参議院議員にトップ当選した人だ。テレビは何故かこの舛添と大仁田と田島(陽子)ばかりを取り上げて報道していた。みんなテレビに出演していたタレントだからだろうが、見る方は「またか」とウンザリさせられてしまった。舛添は「私はダントツの158万人に支持された。私の経済手腕を国民が期待している証拠だ。全力で頑張ります」と選挙後の     インタビューに応えていた。

    その舛添氏が早速「日銀法改正」に取組むという。何を改正しようというのか。それはこうだ。要するに「総理大臣に日銀総裁の首をすげ替える権限を与える」ということだ。「今の日銀総裁(速水優)は間違った経済政策を実行している。しかし日銀は独立性が高く現行法では大臣は日銀総裁を罷免できない。これでは有効な経済政策を実施できない。これまでもさんざん無能な日銀総裁のおかげで日本は大きな経済的損失を出してきている。政府が日銀をコントロールできるようにしなくてはいけない。そのために総理大臣に日銀総裁の罷免権を与える必要がある」という主旨なのである。

    舛添君よく言ってくれた。確かに今の速水はおかしいよ。速水を首にしよう。そしてすぐに金利を上げて外国(アメリカ)に逃げた日本の資金を母国に呼び戻し日本の景気を活性化させよう。それに預金金利も上がるから個人消費も大いに伸びて活況を呈するぞ。アメリカの景気のことなどかまわず、やちゃえ、やちゃえ。これで日本国民は救われるのだ。

    私はこう早合点したのだ。しかし中味はまるで違っていた。速水を首にするまで一緒だったのだが。舛添は金利のことなどおくびにも出さず、まったく逆のことを言っていたのだ。要するに日銀はお札をじゃぶじゃぶ刷って市場に流しなさい。そうしないと日本国はデフレで駄目になる。市場にお金がないからデフレになるし景気も悪いままだ。インフレになるぐらい市場にお金をたっぷり供給すれば景気はよくなり構造改革にも耐えられる。それをしない速水は馬鹿だと非難しているのでした。

    しかしこれはアメリカが日本政府にしつこく要求している「金融緩和」と同じことじゃないか。「金融緩和」なんて訳の分からない日本語を使うから一般国民には意味がよくわからなくなるのだが(本当は意図的に分からなくしているのだと思うのですが)、これは要するに日銀に「お札をじゃぶじゃぶ刷ってお金を市場に流しなさい」て命令していることなのです。つまり舛添君とアメリカは同じ意見なのである。アメリ カは日本国民のことを心から心配してこのように指導してくれているのでしょうか。だって舛添君だってこの方法しかないて言っているのですからね。

    アメリカはそんなに人がいいのでしょうか。あの原爆を日本に落とした国ですよ。私にはアメリカは日本のことを利用しはすれ、本気で思ってくれているとは思えません。

    アメリカの本音はこうだ。アメリカ経済は今、土壇場に来ている。ITバブルが崩壊して景気がどっと悪くなり株価も低迷している。ここは今一層外国の資金に頼る他はない。ところが日本は小泉が緊縮財政をやるという。これでは民間(銀行や生保などの機関投資家)は苦しくなりアメリカにまで追加の資金手当てが出来なくなる。そこで日銀に何の裏付けもないお札をジャブジャブ刷らせて民間の持っている日本国債を日銀に買い上げさせる。こうすれば民間に数十兆円単位のお金が入る。このお金は金利の高いアメリカに自然に流れていくという寸法だ。

    その意味では速水はアメリカの言いなりにはならず「お札をジャブジャブ」とは刷っていないのです。彼は愛国者なのかもしれない。しかし日本発の世界恐慌を誘発させる可能性のある「金利を上げる重大な決断」ができず迷い続けているのでしょう。逆に今回の一件で舛添君はアメリカの追随者としての正体がはっきりしたように私には思えるのです。

    次回は日銀が「お札をじゃぶじゃぶ刷る」ことについて考えてみたい。このことについて皆さんの意見も聞いてみたいと思っています。