2001/08/08      終戦記念日に思う                                       前頁に戻る

 


    昨日は広島の原爆忌、明日は長崎の原爆忌、そして来る8月15日には56回目の終戦記念日がやってくる。しかし私達日本人は大東亜戦争(日中戦争及び太平洋戦争)を本当の意味で反省し総括し未来にその教訓を生かす努力をしてきただろうか。私はこの最も重要な全国民よる必須の作業がいまだに全くなされていないと考える。この作業は戦後の混乱の中でうやむやのままに放置されてきたのである。

    大東亜戦争は軍事官僚の暴走による無謀な戦争であった。しかしこの戦争の真実の姿は米英によって巧妙に仕掛けられた罠に日本人が見事に嵌まって餌食にされたということに過ぎない。その仕掛けられた罠を読み解く能力を持たず、その罠に無謀にも突進していたのが大本営参謀本部の若手軍人官僚達だった。彼らは奢りと傲慢に酔いしれた気違いピエロに過ぎなかった。

    大東亜戦争を起こした日本側の本当の責任者は誰なのか。あなたは答えることができますか。戦後、極東国際軍事法廷(東京裁判)で 死刑を宣告され処刑された12人の戦犯達だと思いますか。一見的を射ているようですがそれは大間違いです。彼らは戦争中、国家の 頂点にいたけれど実際の戦争指導など行ってはいないのです。天皇陛下も含め彼らは国家の飾りにすぎなかったのです。彼らは実は米国の戦後処理のスケープゴート(生け贄)にされた哀れな羊たちなのです。

    では真の責任者は誰なのか。それは大東亜戦争を企画し遂行した大本営参謀本部作戦課の軍人官僚達だった。彼らは陸軍大学校出身の30歳そこそこのエリートで構成されていた。このガキに毛の生えたガチガチの軍人エリート達が何と400万の日本軍を実質的に動かし指導し破滅に導いた張本人だったのである。彼らは真珠湾攻撃などの緒戦の戦果に舞い上がってしまい、その後の作戦にことごとく失敗に失敗を重ね、そのことに何ら反省をせず責任もとらず、暴走に暴走を重ねて日本を敗戦に導いたのでした。

    そして敗戦の日、彼らはいったい何をしたか。戦死した300万人の同胞と戦争に巻き込まれ死んでいった2000万人のアジア人の御霊(みたま)に懺悔し自決したのか。とんでもない、そんなまともな人間達ではありませんでした。彼らは闇に潜んで行方をくらまし、戦犯容疑を巧みに回避し、とことん逃げ隠れたのでした。

    そして米ソ冷戦の開始と朝鮮戦争の勃発を契機に米軍が必要とした警察予備隊(自衛隊)の発足とともに表に姿を現し、米軍に軍事専門家としての己を売り込んだのでした。こうして戦後、彼らは自衛隊、防衛庁、軍需産業、軍需商社に入り込み、その人脈を築き上げ、 政界に隠然たる勢力を伸ばすとともに、日本の高度成長に伴って各分野のトップに君臨し影響力を行使するにいたったのである。

    終戦の日に先立ち、この現実を日本人はしっかりと認識しなければならないと考えます。

    現在の状況は大東亜戦争の時代とまったく相似しています。85年のプラザ合意以後、日本はアメリカの仕掛ける巧妙な金融政策の罠に嵌められバブル崩壊を契機として膨大な不良債権を抱え国家財政は破綻にひんしています。これは明らかに第二の敗戦です。そしてこの敗戦の日本側の真の責任者は大蔵省と日銀のエリート官僚でした。彼らも軍人官僚同様に反省もせず責任もとりません。歴史は繰り返しているのです。

    今後、日本が中曽根、石原陣営の主張するような国家主義的な方向に向かうならば大東亜戦争を遂行し指導した悪夢のような亡霊たちが蘇ってくることでしょう。なぜなら彼らの背後にいるのはかつての大本営参謀本部と旧内務省の影響を強く受けた後継者達であるからです。