1999/01/25  日本は独立国ではない                                                前ページに戻る


現在の日本の抱える多くの問題の根源は、実は未だに
「日本は独立国ではない」という事実に起因しているのである。

すべては大東亜戦争で日本が敗北したことから始まっている。
日本の敗戦が濃厚になった時点で、日本政府は非公式ではあったが
連合国に対してポツダム宣言を受諾する用意のあることを告げていた。
しかしこれを無視してアメリカの支配層は2発の原子爆弾を広島と長崎
に投下したのである。この爆弾は女子供を含む非戦闘員の一般市民を
意図的に大量殺戮することを目的としていた。これは明らかに日本人を
人間以下の動物とみなし、核兵器のモルモットにしたてた犯罪的虐殺行為
であった。この2発の爆弾で30万人の尊い命が失われた。この犠牲者の数
は第二次世界大戦で戦死した全米兵の数に匹敵しているのである。

アメリカの支配層が落とす必要もない原子爆弾を投下し、罪もない一般市民
を大量殺戮した真の目的は何だったのだろうか。これは戦後の日本で完全な
支配権を握るための政治的かつ心理的なデモンストレーションであったのである。
これには二つの効果があった。

一つは、一般市民を大量殺戮することによって、生き残った日本人を恫喝、
威嚇し、日本人としての民族的自立心や誇りを骨抜きにすることにあった。
アメリカに逆らえば皆殺しにされるといった深層心理を強く植付けることで、
日本人を従順でおとなしい家畜にしたてあげようとしたのである。

もう一つはソビエトの介入を封じ込めることであった。第二次大戦の連合国とは
アメリカ、イギリス、フランス、ソビエト、中国の5カ国である。終戦時点では日本
から最も被害を受けた中国は、国民党と共産党との内戦状態に突入しており、
戦後処理に参加する余裕はなかった。アメリカ、イギリス、フランスの3国は表向
きは国名や政治体制の異なる国にみせかけてはいるが、実際は国家を超えた
一つ支配勢力に支配されている国々である。アメリカの支配者はイコール、
イギリス、フランスの支配者なのである。残るはソビエトである。ソビエトはもともと
アメリカの支配者の援助によってできた国である。しかし社会主義の進展とともに
自立を高め、アメリカの支配者のコントロールの利かない国家に変身をとげていた。
このソビエトに対して、アメリカの支配者は戦後日本の利権に一切口が出せないよ
うな強力な軍事的なインパクトを与える必要があった。これが原爆であったのである。
この効果はてきめんで、ソビエトは戦後の日本の処理にまったく介入することが
できなかったのである。

このようにしてアメリカの支配者は戦後の日本の支配権を手に入れると、東京裁判
で一方的に戦争責任者を処罰し、日本の新たな植民地化を画策したのである。
戦後間もない数々の民主的な政策は、軍国主義で抑圧されていた日本人の心に、
自由と民主主義による救世主のような開放感を与え、善玉としてのアメリカのイメージ
を強烈に定着させたのである。同時に日本の戦前の体制を悪玉化し、封建的で劣った
ものとして蔑み、顧みない風潮を日本人の心の中に定着させて行ったのである。

また当初、アメリカの支配者は日本の既存権力の完全解体を目ろんでいたが、その
利用価値に気づき、財閥解体を掛け声だけに終わらせ、戦前の官僚制もそのまま
温存したのである。そしてアメリカの支配者に忠誠を誓う財界人と官僚を重用し、あめ
と鞭をもって彼らを育て手先として利用してきたのである。

対日講和条約と日本国憲法の制定の後も、アメリカの支配者は米軍を日本全土に
駐留させ、巧妙にも日本に表向きには独立国の体裁をとらせながら、実際は外交と
軍事における主体性を剥奪し、日本を実質的な属国に仕立て上げたのである。
彼らのめざすところは日本人の勤勉な国民性を最大限に利用して、日本を世界の
工場に仕立て上げ、アメリカの支配者に永久に奉仕する従順なひつじに育て上げ
ることであった。

ひつじは今まるまると肥え太り、アメリカの支配者に収奪され続けている。
しかし真の意味での「独立国」を達成しない限りこの収奪は終わることはない。
そして日米共同防衛構想(ガイドライン)の名のもとに、日本人はまたもやアメリカの
支配者の捨て駒にされ、再び核兵器の犠牲にされる瀬戸際に追いやられようとしている。